問 題
鉄骨構造とその材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 降伏比の大きい鋼材は、靭(じん)性に優れる。
- 建築構造用鋼材は、降伏点又は耐力の上限と下限が規定されている。
- 鋼材の強度は温度上昇とともに低下し、1,000℃ではほとんど零となる。
- 軟鋼の炭素量は0.12~0.30%である。
- 高力ボルト接合の締め付け時の余長は、ねじ山3以上とする。
正解 (1)
解 説
本問の正解は(1)ですが、「降伏比」はマイナーな用語だといえます。さらに、(2)~(5)に関しても出題傾向から見て珍しい文章が多く、しいて言えば(3)の記述がたまに出題される程度です。そのため、個人的にはこの問題を捨て問題にしてしまっても構わないと思います。
一応簡単に解説すると、降伏比とは、引張強さに対する降伏強さの割合です。(降伏比=降伏強さ/引張強さ)。ここで、降伏比が大きい(=1に近い)というのは、降伏強さと引張強さとの差が小さいということです。
よって、降伏比が大きい材料は、降伏強さを超える衝撃を受けて材料が曲がったと思ったら、そのすぐあとに引張強さに達して材料が割れてしまいます。一方、降伏比が小さい材料は、たとえ衝撃を受けて曲がっても折れたり割れたりしにくいです。
以上から、降伏比の小さい鋼材のほうが靭性に優れているので、(1)の記述が誤りで、これが正解となります。
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