ビル管理士試験 2020年 問42 問題と解説

 問 題     

水道法の水質基準に規定される物質とその疾病との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

  1. ヒ素      ボーエン病
  2. 亜硝酸態窒素  メトヘモグロビン血症
  3. 四塩化炭素   肝がん
  4. ベンゼン    再生不良性貧血
  5. フッ素     舌がん

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

これはやや難しい問題です。悪問・奇問というわけではないので、余裕があれば押さえておきたい知識ですが、ご自身の学習状況や理解度によっては後回しにしても構わないと思います。

(1)のヒ素は、生物に対して様々な毒性を持ちます。有名なのは角化症(皮膚が硬くなる)やボーエン病(皮膚がんの一種)など、皮膚に関する疾病です。皮膚以外にも呼吸器や消化器など、様々な組織や臓器で障害を起こすこともあります。

よって、(1)の「ヒ素-ボーエン病」は正しい組合せです。

(2)の亜硝酸態窒素は、体内に入ると血液中のヘモグロビンを酸化させてメトヘモグロビンに変えます。ヘモグロビンは酸素を運搬する役割を果たしますが、メトヘモグロビンはそれができないので、体内に酸素が巡らなくなってしまいます。これがメトヘモグロビン血症です。

特に乳児の体内に亜硝酸態窒素が入るとメトヘモグロビン血症になりやすいため、問題視されています。

よって、(2)の「亜硝酸態窒素-メトヘモグロビン血症」も正しい組合せです。

(3)の四塩化炭素は有機塩素系化合物の一種です(トリクロロエチレンなどと同類)。有機塩素系化合物といえば、誘発する疾病は発がんです。特に肝臓と腎臓に対するダメージが大きいので肝がんや腎がん(腎臓がん)が多いですが、その他のがんの原因になるとも考えられています。

よって、(3)の「四塩化炭素-肝がん」も正しい組合せです。

(4)のベンゼンは、白血病や再生不良性貧血の原因物質として知られています。再生不良性貧血とは、骨髄の造血機能障害により、血液細胞があまり作られずに、白血球・赤血球・血小板の全ての数が減ってしまう疾病です

よって、(4)の「ベンゼン-再生不良性貧血」も正しい組合せです。

(5)のフッ素は、過剰摂取によって歯や骨に悪影響を与えます。歯の場合は、斑状歯といって歯に斑点状のシミができます。骨の場合は、骨硬化症といって手足の骨がうまく動かせないという運動障害を生じます。

一方、フッ素には選択肢にある「舌がん」を誘発することはないので、これが誤りの組合せです。

よって、正解は(5)となります。

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