ビル管理士試験 2020年 問26 問題と解説

 問 題     

熱中症に関する次の文章の(  )内の語句のうち、最も不適当なものはどれか。

熱失神は皮膚血管の拡張により血圧が低下し(1.脳血流が減少)して起こる。

熱けいれんは発汗により(2.塩分)が失われ、その後大量に(3.水分)を摂取することで起こる。

熱疲労は細胞外液の浸透圧の増加により、細胞内の(4.水分増加)が生じることで起こる。

熱射病は(5.体温調節中枢の障害)が生じることで起こる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(1)に関して、血圧が下がればその分、脳に回る血流も減ります。よって、(1)は正しいです。

(2)と(3)で、汗をかけば身体から水分と塩分が失われます。この状態で塩分を摂取せずに水分だけを摂取すると、血液中の塩分濃度が薄まってしまい、けいれんが起こります。これが熱中症の一つ、熱けいれんです。よって、(2)も(3)も正しいです。

(4)で、細胞内外の浸透圧に差が生まれると、浸透圧が低いほうから高いほうに向かって、水分が流れ込みます。

水分が流出したほうは相対的に塩分濃度が上がるので浸透圧も上がり、水分が入ってきたほうは塩分濃度が薄くなるので浸透圧が下がります。このように細胞内外で水分をやり取りすることで、浸透圧のバランスを保っています。

ここで、今回は細胞外液の浸透圧が上がっているので、それを下げるために細胞内の水分が細胞外へ移動します。つまり、細胞内は「水分増加」ではなく「水分減少」となります。

よって、(4)の記述が誤りで、これが正解となります。

(5)は記述の通りです。体温調節機能が働かなくなると、意識不明などの危険な状態となります。

余談ですが、問題文には熱中症の例として、熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病の4つが並んでいますが、左側ほど症状の軽く、右側ほど症状が重くなります。

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